2012年10月28日日曜日

都倉の覚醒と勝利のキーポイント -30節川崎戦-

新潟戦のスコアレスドロー、清水戦の追いつかれてのドローに比べ、2点差を追いついてのドローには勝点1以上の価値以上があった。

特に素晴らしかったのは都倉。この試合では2つの覚醒がみられた。

フィジカルの覚醒

都倉はもともとフィジカルが強い選手だ。しかし、神戸の3点目、都倉自身の2点目のゴールの時の体の使い方わすごかった。

このシーン右サイドのカンジョからふわりと滞空時間の長い浮き球のクロスに、滞空時間の長いジャンプでヘディングゴールを叩き込んだ。

このゴールは早いクロスに比べて難しい。
・滞空時間が長いクロスのため、ジャンプのタイミングが取りにくい。
・時間がかかるため、相手ディフェンダーに体を寄せられてしまう。
・クロスボールのスピードが弱いため、ヘディングのボールスピードが弱くなりがち。

しかも、都倉には相手のジェシと伊藤宏樹が挟みこみに来ていた。特にジェシは相手の首に肘を当ててくるファールまがいの守備を繰り返していたので、ジャンプがしづらかったに違いない。
こうした悪条件を乗り越えて、相手の頭から上半身が出るほどの高さまでジャンプし、ゴール左隅にたたきつけた。

インテリジェンスの覚醒

都倉の起用は吉田孝行の負傷によるものだった。この試合で吉田孝行に期待されていたタスクはディフェンスラインからパスつないでくる川崎の戦術の分断だと想定される。
そのタスクには経験とインテリジェンスが要求され、吉田孝行が最も適任なのはまちがいない。皮肉にも吉田の負傷は相手を追い込んで、ミスが発生した時に瞬発力を発揮した瞬間に発生した。

都倉に変わって、前線からの追い込みが鈍るかと心配したが、都倉の追い込みも十分に効果的でカンジョに指示をしながら相手のミスを誘発していた。
川崎のつなぎが成熟していないということが非常に大きいという気もするけれど、都倉のインテリジェンスも十分に成長していいる。覚醒とまではいいすぎかもしれないが。

勝つためのキーポイント

川崎戦の2点目、3点目の遠因はボールの奪われ方。どちらもミスによるもので、そのミスは田中英雄とパク・カンジョが絡んでいる。神戸にとってこの二人はボール奪取の起点になっているのだが、ボールロストの原因にもなっている。
ベテランのこの二人のところでミスが少なくなれば、安易に相手ペースにならず、落ち着いたゲーム運びをできるのだろう。
神戸の苦しい時期を支えてきたヒデとカンジョ、神戸のダイナミズムの中心であるこの二人がどれだけミスを減らせるか。それがキーになるというのがこの試合で浮き彫りになった。

2012年10月24日水曜日

神戸の至宝 岩波拓哉がついにデビュー

神戸の至宝、岩波拓也がついにJリーグデビューした。
ヴィッセルU-15、U-18や年代別代表で活躍してきただけに、この日をどれだけ待ち焦がれたことか。

岩波の特長は以下のとおり。
・186cmの長身センターバック
・ヘディングは強く、コーナーキックからの得点をとれる
・足下のうまさは歴代の日本代表DFと比較しても屈指のものがある
・ロングフィードやグラウンダーのパスだけでなく、フリーキックでゴールも決める
・神戸の下部組織だけでなく日本代表でも主将を務めるキャプテンシーを持つ

こんなすばらしい選手がなぜ今まで使われなかったのか、おそらく90分戦うスタミナとフィジカルの問題だったのだろう。

清水の1トップの金はファイタータイプではないためバトルは少なく、CBの相棒のグァンソンと上手くマークを受け渡すことで、スタミナ・フィジカル面では消耗しない展開だった。また、神戸のゴールが前半から日影だったこともスタミナ消耗を防いだのかもしれない。後半攻め立てられたため、80分頃からは足をストレッチする仕草がみられたけれど、無事に90分を乗り切り、不安面はほとんど露呈しなかった。
いや、相棒のグァンソンよりもかなり落ち着いていて、安定したプレーぶりだった。

持ち味のフィード、パスについては、前半からボランチや右サイドの茂木があがったところにグラウンダーのいいパスが通っていた。けれそ、右サイドから前線左側へのクロスファイヤとなるフィードが前半にみられなかったのはすこし残念。
後半、フェルナンドが入って2トップになった状態で、右のCBの位置の岩波から、左のFWの位置のフェルナンドへ入ったクロスファイアのフィードはとてもすばらしかった。胸トラップが大きくなってシュートまではうまくいかなかったけれど・・・
田代、都倉の2トップに岩波からのロングフィードなどと・・・妄想してしまうわけです。

このクロスファイアの直前には一時疲れが見えていた岩波だったけれど、自信を取り戻し、気分がよくなったのか、プレーぶりが回復して、すばらしいデビューの90分を終えた。

Football Labのデータによると岩波の守備のCBP16.06でチーム一だった。特徴のパスのCBPは0.98。(CBPの説明はこちら。とにかくポイントが大きいほうがよい)

北本と伊野波のこれまでの守備の平均CBPは北本8.79、伊野波7.89、パスの平均CBPは北本0.57、伊野波0.98。守備の北本、攻撃の伊野波という傾向が見える。

岩波は、清水戦でこの二人以上のポイントを得たのだから十分合格点といえる。もちろんたった一試合であるので、数字上のお遊びということをお忘れなく。