2012年11月18日日曜日

雨中の熱闘 FC東京戦

午後には一度小ぶりになって、そのままあがると思ったのだが、試合が進むにつれて雨は激しさを増していく。
試合前半はまだボール転がるピッチだったが、後半になるとボールはほとんど転がらなくなった。

先制点は、奥井。
パスカットから、ドリブル。そして、小川を使ってのワンツー、シュート。ゴール!


都倉はその後も惜しいヘディングでゴールを脅かすなど、相変わらず好調を維持していた。

マリノス戦からガラっと変わったのは大久保。
運動量多く中盤を動きまわり、ボールを奪うとためを作る。
安達監督の意図を忠実に体現していた。

マン・オブ・ザ・マッチは嘉味田隼。
前半は、キーパーボールを前に出ずにキャッチせず、嘉人に怒られる場面もあっただ、後半には再三好セーブで危機を救った。

大宮、ガンバが勝利したため、勝ち点差は離れなかったが次節の結果しだいでは、次節で残留を決めることができる。この勝利はとても大きい。
なによりも、監督を交代させていきなり結果がでた。そのことでチームが勢いにのる。このことがとても大きい。

2012年11月8日木曜日

西野のソリューション 横浜戦

はじめに

一般的にソリューション(問題解決)には3つのステップがある。
最初は「問題発見」、続いて適切な「解決策の適用」、最後に「解決策の実行」。

サッカーを例に取れば、守備に問題があるのか、攻撃に問題があるのか?さらに守備であれば最終ラインの問題なのか、中盤の問題なのかと問題を細分化して具体の問題点を明らかにしていくのが「問題発見」のステップ。

一つの具体的な問題点に対しても解決策は複数存在する。それに対し、知識と経験を駆使して最も適切かつ効率的な解決策を抽出するのが、「解決策の適用」のステップ。

「解決策の実行」は、解決策をどのように実現していくか。試合での選手の配置、ボールの動かし方、選手交代、相手の戦術への対応等々、サッカーの監督の能力として表に出てくるのはこの場面のとしてが多い。

そして、うまくいった部分、うまくいかなかった部分を整理して問題発見のステップに戻る。いわゆるPDCAサイクルとおなじ繰り返しが行われることになる。

西野のソリューション

横浜Fマリノス戦に際して、西野監督の川崎戦での「問題発見」はファールの多さとミスの多さだった。その「解決策の適用」は、ファールやミスの多い田中英雄に代えて三原をボランチに置くというものだった。
しかし、三原は久しぶりの試合出場ということもあり、また守備的なタスクを課されたということもあり、前半非常に消極的なプレーをすることになる。アンカーのポジションから離れず、またファールを恐れるからか、玉際への寄せが甘い。
また、試合直前の田代の故障で長身2トップの構想が崩れることになったことも響いた。田代と都倉の二人がそろえば、横浜の中澤、栗原相手といえども2トップの関係でためをつくることができたはずだったが、都倉一人ではその構想は瓦解した。また、相馬の不在によって左サイドの攻撃もなく、神戸の攻撃は都倉へのむやみなロングボールのみとなる。
前半からロングボール一辺倒となり、三原がアンカーの位置に構えることで中盤にスペースが空き、セカンドボールは横浜に拾われ続ける。シュートこそほとんど許さず、前半はどちらも決め手のないまま過ぎていったが、前半ロスタイムに相手ボランチへの寄せが甘くなったところでミドルシュートを決められた。

後半、前へ向こうという意識は高くなったけれど、具体的な攻め手があるわけではなかった。「前へ」の意識の裏を突かれ、カウンターの餌食になり、追加点を奪われる。追加点のシーンでは、三原がマルキーニョスから完全に振り切られていたのが印象的で、西野采配が完全に裏目に出たことの象徴に見えた。

西野の反省

この試合、「失点につながるファール、ミスの多発という問題」に対して、「三原の投入で安定を図る」という解決を狙ったのだが、田中英雄あるいはパクカンジョの「ファールの裏側にあったボール奪取成功」というショートカウンターの起点を評価できていなかったように思う。
西野監督自身のコメントを読むと、「問題発見」のところで見誤った反省という意識はあるのだろう。

「こういう状況下でセーフティーなプレーというのが優先されているのか、ひとつのミスを恐れているのか、やはり安全にやるプレーというのが多すぎたと思います。中盤のサポートが追い付かない状況というのが多かったですし、そう簡単に日本を代表する二人のCBを相手に五分五分のボールが、優位にセカンドボールが拾える状況でもないので、決してそういう形を狙っていたわけでもありません。どうしても試合に入っていくと、そういうボールを見てしまう状況になっていたのかなと、特に前半は思いました。」

西野の引き出し

気になるのは、69分に富沢が退場して数的有利になった後の戦い方。
20分あるので2点取ることは十分に可能なのに、85分までは今ひとつ戦い方がはっきりしなかったこと。ここで監督のメッセージがもっと強く出てもよかったのではないかという気がするのだ。
この場面の「問題発見は明らかに20分で2点以上取ること」、それに対して、「解決策の実行としてグァンソンをトップにあげた」だけに見えた。何かもう一つ二つ工夫があってもよかったと思うのだけど、その引き出しがないのではないのだろうか。
ファールをよく取ってくれる審判だっただけにフェルナンドを入れてドリブル突破を図らせて、FKのチャンスを狙うとか何か打つ手はなかったのだろうか?

謝辞

試合直後のおしりくんとのツイッターでの議論がこのエントリーのベースになっています。改めて感謝申し上げます。



2012年10月28日日曜日

都倉の覚醒と勝利のキーポイント -30節川崎戦-

新潟戦のスコアレスドロー、清水戦の追いつかれてのドローに比べ、2点差を追いついてのドローには勝点1以上の価値以上があった。

特に素晴らしかったのは都倉。この試合では2つの覚醒がみられた。

フィジカルの覚醒

都倉はもともとフィジカルが強い選手だ。しかし、神戸の3点目、都倉自身の2点目のゴールの時の体の使い方わすごかった。

このシーン右サイドのカンジョからふわりと滞空時間の長い浮き球のクロスに、滞空時間の長いジャンプでヘディングゴールを叩き込んだ。

このゴールは早いクロスに比べて難しい。
・滞空時間が長いクロスのため、ジャンプのタイミングが取りにくい。
・時間がかかるため、相手ディフェンダーに体を寄せられてしまう。
・クロスボールのスピードが弱いため、ヘディングのボールスピードが弱くなりがち。

しかも、都倉には相手のジェシと伊藤宏樹が挟みこみに来ていた。特にジェシは相手の首に肘を当ててくるファールまがいの守備を繰り返していたので、ジャンプがしづらかったに違いない。
こうした悪条件を乗り越えて、相手の頭から上半身が出るほどの高さまでジャンプし、ゴール左隅にたたきつけた。

インテリジェンスの覚醒

都倉の起用は吉田孝行の負傷によるものだった。この試合で吉田孝行に期待されていたタスクはディフェンスラインからパスつないでくる川崎の戦術の分断だと想定される。
そのタスクには経験とインテリジェンスが要求され、吉田孝行が最も適任なのはまちがいない。皮肉にも吉田の負傷は相手を追い込んで、ミスが発生した時に瞬発力を発揮した瞬間に発生した。

都倉に変わって、前線からの追い込みが鈍るかと心配したが、都倉の追い込みも十分に効果的でカンジョに指示をしながら相手のミスを誘発していた。
川崎のつなぎが成熟していないということが非常に大きいという気もするけれど、都倉のインテリジェンスも十分に成長していいる。覚醒とまではいいすぎかもしれないが。

勝つためのキーポイント

川崎戦の2点目、3点目の遠因はボールの奪われ方。どちらもミスによるもので、そのミスは田中英雄とパク・カンジョが絡んでいる。神戸にとってこの二人はボール奪取の起点になっているのだが、ボールロストの原因にもなっている。
ベテランのこの二人のところでミスが少なくなれば、安易に相手ペースにならず、落ち着いたゲーム運びをできるのだろう。
神戸の苦しい時期を支えてきたヒデとカンジョ、神戸のダイナミズムの中心であるこの二人がどれだけミスを減らせるか。それがキーになるというのがこの試合で浮き彫りになった。

2012年10月24日水曜日

神戸の至宝 岩波拓哉がついにデビュー

神戸の至宝、岩波拓也がついにJリーグデビューした。
ヴィッセルU-15、U-18や年代別代表で活躍してきただけに、この日をどれだけ待ち焦がれたことか。

岩波の特長は以下のとおり。
・186cmの長身センターバック
・ヘディングは強く、コーナーキックからの得点をとれる
・足下のうまさは歴代の日本代表DFと比較しても屈指のものがある
・ロングフィードやグラウンダーのパスだけでなく、フリーキックでゴールも決める
・神戸の下部組織だけでなく日本代表でも主将を務めるキャプテンシーを持つ

こんなすばらしい選手がなぜ今まで使われなかったのか、おそらく90分戦うスタミナとフィジカルの問題だったのだろう。

清水の1トップの金はファイタータイプではないためバトルは少なく、CBの相棒のグァンソンと上手くマークを受け渡すことで、スタミナ・フィジカル面では消耗しない展開だった。また、神戸のゴールが前半から日影だったこともスタミナ消耗を防いだのかもしれない。後半攻め立てられたため、80分頃からは足をストレッチする仕草がみられたけれど、無事に90分を乗り切り、不安面はほとんど露呈しなかった。
いや、相棒のグァンソンよりもかなり落ち着いていて、安定したプレーぶりだった。

持ち味のフィード、パスについては、前半からボランチや右サイドの茂木があがったところにグラウンダーのいいパスが通っていた。けれそ、右サイドから前線左側へのクロスファイヤとなるフィードが前半にみられなかったのはすこし残念。
後半、フェルナンドが入って2トップになった状態で、右のCBの位置の岩波から、左のFWの位置のフェルナンドへ入ったクロスファイアのフィードはとてもすばらしかった。胸トラップが大きくなってシュートまではうまくいかなかったけれど・・・
田代、都倉の2トップに岩波からのロングフィードなどと・・・妄想してしまうわけです。

このクロスファイアの直前には一時疲れが見えていた岩波だったけれど、自信を取り戻し、気分がよくなったのか、プレーぶりが回復して、すばらしいデビューの90分を終えた。

Football Labのデータによると岩波の守備のCBP16.06でチーム一だった。特徴のパスのCBPは0.98。(CBPの説明はこちら。とにかくポイントが大きいほうがよい)

北本と伊野波のこれまでの守備の平均CBPは北本8.79、伊野波7.89、パスの平均CBPは北本0.57、伊野波0.98。守備の北本、攻撃の伊野波という傾向が見える。

岩波は、清水戦でこの二人以上のポイントを得たのだから十分合格点といえる。もちろんたった一試合であるので、数字上のお遊びということをお忘れなく。

2012年4月30日月曜日

勝点貢献率2007-2010

勝ち点貢献率を2007年の再昇格以降みてみると。

勝点貢献率(2010) チーム平均1.12

榎本と紀氏、徳重の差が極端についてるのが特徴的。榎本が不安定な年だったのは覚えてる。
補強した冨田、エジミウソン、都倉、ジェミンはいまいちの出来。


勝点貢献率(2009) チーム平均1.15

試合数が少ないが岳登がトップ。
レギュラークラスでは河本がトップ。レギュラーに定着した松岡も上位。
一方、大型補強したはずのマルセウ、バイーア、我那覇はほとんど貢献できていない。

勝点貢献率(2008) チーム平均1.47

この年も岳登がトップ。ただし、デビュー戦1試合だけの出場だった。もちろん足をつって74分で交代。
松田時代は大久保、レアンドロというFWが上位に。守備が安定していたので、決定力があるFWの出場が勝敗を決めていたということでしょう。
移籍してきた選手では金南一が貢献しているが、吉田孝行、鈴木規郎、松橋章太はいまいちの結果。


勝点貢献率(2010) チーム平均1.47

途中加入の古賀誠史がトップ。その他、この年加入の大久保、ボッティ、榎本、レアンドロが上位に。過去5シーズンで移籍が成功したといえるのはこの2007くらいか。

結局、新加入して即活躍というのは2007年組と金南一ぐらい。補強というのはうまくいかないものだと改めて確認した。

そして、近藤岳登の勝点への貢献はすごい。岳登がスタメンを外れては勝てないという恐ろしい事実。

チームの誰が勝ち点に貢献しているのか?

 2011シーズン、誰が勝点獲得jに貢献したのか?
サポの評価が低いあの選手は本当に足を引っ張っているのか?

勝点貢献率という指標をつくってみた。(勝点貢献率=勝点×出場時間/90の年間平均値)

勝利試合にフル出場していたら3、前半だけ出場だと1.5。負け試合では0。

出場時間が長いほど、チームの年間勝点/34試合に収束することになる。2011シーズンだとフル出場した北本と徳重がチームの平均値。これより高いと勝点獲得に貢献している、低いと貢献できていないということになる。

勝点貢献率(2011) チーム平均1.35

最高は大屋だが、出場時間が短いので参考値。
レギュラークラスの最高はなんと近藤岳登。つづいて松岡、河本、北本、徳重と守備の選手が上位に来ている。攻撃的な選手では田中英雄とカンジョが上位に。

松岡が去り、河本が長期離脱。岳登と北本がメンバーから外れて6連敗、毎試合失点というのも納得できる結果ですね。

2012年3月3日土曜日

J1主審をクラスタ分析してみた(主審の研究)

エルゴラ選手名鑑に主審のデータが掲載されていたので、つねづね思っていた疑問を分析してみた。
その疑問とは、「主審の上手・下手って定量化できるのではないだろうか」

手元にあるデータは、エルゴラ選手名鑑(2012年版)。ここに掲載されているデータは、「1級登録年度」、「担当試合数」、「2011シーズンのカード枚数、担当試合数、PK回数」など。

表 主審の主なデータ 
イエローカード、レッドカード、PKは1試合あたりの数値

このデータから上手い審判の条件を設定する。

試合を円滑にコントロールするためには、カードに頼らず選手と上手にコミュニケーションを取れること。すなわち、上手い審判は「1試合あたりのカード枚数が少ない」だろう(条件1)

試合経験を重ねるごとに主審の技量は上達していくに違いない。すなわち、上手い審判は「通算試合数が多いこと」(条件2)
(通算試合数が多いというのはリーグにも信頼されているはず)


図1は通算試合数と昨シーズンの1試合あたりのイエローカード枚数をプロットしたもの。
通算試合数が多いほど、1試合あたりの枚数が減る傾向がみられる。相関係数0.5なのでまあまあの関係性である。

ワールドカップ3位決定戦を裁いた西村雄一を最も実力のある審判とするならば、カード枚数が少ない審判は上手い審判といえるだろう。



図1 通算試合数と1試合あたりのカード枚数



試合ごとにプレーの荒さが大きく違わないとすれば、主審により1試合あたりのカード枚数が倍になるのは、主審の性質によるものと考えられる。その性質をクラスタ分析によって分類してみた。

図2に「通算試合数」、「1試合あたりのイエローカード枚数」、「1試合あたりのPK数」により、クラスタ分析を行った結果を示す。結果は1~7のクラスタに整理した。

図2 主審のクラスタ分析結果


第1クラスタは「経験が少なく、1試合あたりのカード枚数が多い」
第2クラスタは「経験は少ないが、1試合あたりのカード枚数が少ない」
第3クラスタは「経験は多いが、1試合あたりのカード枚数が少ない」
第4クラスタは「とにかく1試合あたりのPKが多い]
第5クラスタは「 経験が多く、1試合あたりのカード枚数が少ない ]
第6クラスタ、吉田寿光氏は孤高の存在。


西村、松村が属する第5クラスタは上手い審判といえるだろう。ここに高山はまだしも、東城が入ったことに驚いたが、彼に対する先入観を変えなければいけないようだ。広瀬についてはJ1ではまだ34試合と担当した試合が少ないことから、ジャッジに印象に残っていない。今シーズン注目してみよう。

第3クラスタには神戸サポからすると最悪の印象がある村上が含まれる。経験試合数が多いにもかかわらず、カード枚数が多いのはもはやスタイル変更の余地がないのかもしれない。
(ただし、扇谷については提示したイエローカードのうち20%が遅延に対するものであるため、インプレーのカードだけ集計して分析すると評価が変わるかもしれない)

第4クラスタの家本は1試合あたりのカード枚数は西村、松村についで少ないものの、PK数が突出して多い。佐藤隆治については、カード枚数、PK数ともに多く、試合が荒れる可能性が高い傾向にある。

定量的に分析してみたところ、主審個人の特性は明らかに存在することが分かった。願わくば、その特性が試合を壊すことがないように。また、今シーズンの観戦のお役に立てば幸いです。