2012年2月13日月曜日

ヴィッセル神戸の特徴は?(その1)

2011シーズンのヴィッセル神戸の目標は一桁順位だった。

J1は18チームなので、真ん中よりも上の順位となることと同じ意味である。つまり、勝点が全18チームの真ん中の値(中央値)よりも大きければいいということになる。


【再昇格以降の戦績】
「一桁順位(中央値を上回る)」という2011シーズンの目標が妥当だったのか、それが2007年の再昇格以降の成績の成績においてどういう位置づけだったのか整理してみる。

成績の指標としては、勝点(総合的な勝敗の指標)、得点(攻撃力の指標)、失点(守備力の指標)とした。

2007年以降のヴィッセル神戸の成績(勝点、得点、失点)が中央値とどれくらい乖離していたのだろうか?

表 2007年再昇格以降の成績のリーグ中央値との乖離



図 再昇格以降の成績のリーグ中央値との乖離


これを見ると、一目瞭然。結果として、2011シーズンは、2007、2008シーズンの水準に戻ってきただけといえる。クラブ史上初の一桁順位達成といっても、勝ち点が中央値に対してわずか0.5上回っただけであり、総合的にみて新たな高みに到達したということではない。

【シーズン別の成績推移】
全18クラブとの比較で、各シーズン成績を比較してみる。

縦軸を得点、横軸を失点、マークのサイズを勝点として、シーズン別に示したのが以下の図。縦軸、横軸の交点は各シーズンの得点、失点の中央値としている。

プロットが上にあるほど得点力が高く、左にあるほど守備力が高い。右上が強く、左下が弱い。おおよその傾向としては、右上がバランス型。右寄りが守備型、上寄りが攻撃型の傾向、左下が攻守ともに戦力が劣るということになる。


2007シーズン

2008シーズン

2009シーズン

2010シーズン

2011シーズン

神戸の2007シーズンは攻撃型、20081シーズンは守備型の傾向があるが、ほかのクラブとの比較をすると、それほど特徴的ではなく、おおむね中央部をうろうろしてる。

ぎりぎりの残留を果たした2010シーズンでさえ、中央からそれほど離れていない。京都と湘南が突出してひどいせいもあるが、神戸より上位だった山形(13位)、磐田(11位)に比べても得点、失点はそれほど悪い成績ではない。しかし、山形とは勝点4、磐田とは勝点6の差がついてる。

【ヴィッセル神戸の特徴】
「堅守速攻」、ヴィッセル神戸が打ち出しているスタイルを、「攻撃力ではやや劣ったとしても、守備力で標準以上の力を持ち、効率的に勝ち点を稼ぐというもの」と考えてみると、効率性というキーワードが重要になる。
神戸の成績を効率性という視点で見ると、けして効率的とはいえないこと明らかになる。
例えば、2007シーズン、リーグ4位の58得点、失点はほとんど平均的なのに結果は10位。
2011シーズンにおいても、ヴィッセル神戸と得点、失点が近い横浜FMは5位になってる。

結局、ヴィッセル神戸は良くも悪くも、特徴が明確ではない。ただ少し効率が悪いというのが現状だということとなる。